「あ、ごめんね。小川さん。これ、洗って返すから」
「いいって。今それどころじゃないし。
っていうか、それ、河合ちゃんのせいじゃないし!」
「でも、シミが残っちゃったら大変よ? 借り物なら丁寧に扱わなくちゃ」
「なに言ってんの? 桜田のせいじゃん!
わざとでしょ? ぶつかってきたの。 
前半戦で河合ちゃんが活躍してたから、主力の河合ちゃんを潰すためにぶつかって転ばせたんでしょっ?!」

これはもしかしたら絆創膏張らないとかな。
社会人にもなって膝に絆創膏って、ちょっと恥ずかしいかも。
ストッキング履いてもすけちゃうだろうし、両足絆創膏で電車通勤とか、なにかの罰としか思えない。

そんな事を思って顔をしかめている隣で、小川さんの怒りが次々に爆発していた。
そして。

「ってゆーかー、絶対わざとだし。あたし見てたもん。桜田が河合さん見ながらぶつかるの。
まー、ぶつかるってゆーか、押した感じ?」

どこからか、有坂さんが参戦。

「あら、人聞き悪い事言わないでよ。
わざと怪我させる教師がどこにいるの? バカな事言ってないで、河合さん、早く保健室に……」
「河合ちゃんはこれぐらい保健室なんか行かなくても大丈夫ですからっ!!!」
「そーそー!! これぐらいの怪我なら余裕でシュートだってバンバン決められるってゆーかー。
ってゆーか、あんま調子乗ってると朝宮にチクってやるし?」