唇が、覚えてるから


祐樹はすぐにその上から、私を包み込むように抱きしめた。

……っ。

そのぬくもりが、どうしようもなく温かくて。

私はまた、祐樹を諦められなくなる。

涙がとめどなく、あふれ出す。


「やだよ……。

祐樹がいなかったら私……生きてる意味なんてない」


祐樹がダメなら……私が……。

……私が死を選ぶ。

あの世で祐樹と一緒にいられるなら。


本気で思った。

怖くなんかない。


「私、祐樹と一緒に逝く……」


祐樹のいない世界で生きる方がよっぽどツラい。

知ってしまった以上、祐樹のいない日々は考えられない。

祐樹なしじゃ、がんばれない。

それに引き換え、死ぬのなんて全然怖くない。



「琴羽」


少し怖い声で、祐樹が私を呼んだ。