「俺とお前が初めて話した時のこと覚えてるか?」



視線を外しながら話す大智さんに



「あ、うん。覚えてるよ?鍵失くした時のことでしょ?」



そう言ったあたし。



忘れるわけがない。



隣の部屋で毎日BGMを聞かされ、その男に話し掛けられたんだもん。



「あれさ、嘘…」



「はい?」



「あー、いや、だからさ…。鍵失くしたっていうのが、嘘…」



段々と声が小さくなっていった大智さん。