「あたしはっ…」



「詠二を忘れてとは言わないわ。ただ、奈緒ちゃんを好きになってくれる人が現れた時は真剣に考えてあげて?」



そっと抱きしめてくれた。



「…うっ…うぅ…」



あたしは、お姉さんの腕の中で泣いた。



「これが、あたしと詠二の過去なの…」



やっぱり話しながら泣いてしまった。



ゆっくり詰まりながら話し、気付けば朝になる頃だった。



「悪ぃ…」



「え…?」



大智さんは、あたしの涙を指で拭った。



「俺さ、軽い気持ちで聞いちまった…。そんな過去だったなんて思わなかったんだ…」