「あの人は…」



「ん?」



「あの人は送ってきたんですか…?」



「あぁ、あの女か?送ってねぇよ」



「はい?」



送ってない…?



「何か奈緒たちが店から出た後、あの女も出て行ったんだよ」



「どうして…?」



あんな勝ち誇ったような顔してたくせに。



「そんなの俺が知りてぇよ。送らねぇと奈緒に危害与えるつったから渋々送ることにしたのによ。奈緒は奈緒で目も合わせてくんねぇし、携帯番号も教えてくんねぇし、家で待ってても帰って来ねぇし、探しに来たら泣いてるし」



「………」



なんて返していいか分からなかった。