いつもはタクシーを使うんだけどこの日はどうしても歩きたくて家までの道を、ゆっくりと歩いた。



ここ、良く一緒に歩いたっけ。



ここで、良く待ち合わせしたなぁ。



あ、ここでは何食べるかで言い合いしたんだった。



気付けば奈緒の目から涙が溢れ出し立っていることさえ出来なくなってしまった。



「……詠二っ。会いたいよぉ……!!」



奈緒はその場に泣き崩れた。