「そんなこと言うなよ」



“俺はお前しか見えないんだから”と、切なげな声にドキリとした。



「ごめん…、やっぱりあたしウザイよね…」



すぐ泣くし、すぐ嫉妬するし…。



「奈緒、俺はウザイなんて思ったことはないぞ。嫉妬する奈緒も、すぐ泣く奈緒も全部ひっくるめて好きなんだ」



“愛してるんだ”と、キスをくれる。



「我慢なんか、すんな。嫉妬したら、言え。泣きたかったら、泣け。全部受け止めてやっから」



ほんとに大智さんは、あたしに甘い。



あたし、嫌な人間になっちゃうんじゃないかってくらいに甘い。



「分かったか?」



「うん…」



「なら、行くぞ」



言い終わらないうちに、あたしを抱き上げた。