305号室の男。【完】

「奈緒、返事は?」



“もしかして嫌だったりとか?”と、大智さんの目尻が下がった。



「ち…、がう…っ」



言葉にならず、抱き付いた。



「奈緒?」



抱きしめてた腕を緩め、顔を上げ。



「お嫁さんに…、なってもいいの?」



多分あたしの顔は、涙と鼻水でヒドイ顔だったと思う。



「あぁ、俺の傍にいてほしいんだ」



“いてくれるか?”と、あたしの腰に手を添えた。



「うん、あたしも大智さんの傍にいたい」



あたしたちは詠二のお墓の前で…、キスをした。



ただ触れるだけのキス…、を。



「大体は、こんな感じかな」



細かいことは言わず、あったことを葵に話した。