305号室の男。【完】

「いちいちお前は可愛いんだよ」



「かわ…っ!!」



今、あたしは大智さんの胸の中。



「奈緒が嫉妬とか嬉しいけどさ、俺もう限界きそうだからそれ以上変なこと言うなよ」



嫉妬…、嬉しい…。



「なに、ニヤついてんだよ。ほら、行くぞ」



腕を引かれ、あっという間に詠二のお墓の前にいた。



「詠二、お前に会うのはこれで二回目だな」



お墓を見つめながら詠二に話しかける大智さんを、あたしは見つめた。



「お前が大切にしてた、守りたいと思った奈緒…。俺が詠二の分も一生守り抜いてやるから。一生大切にする、約束する」



そう言って、ゆっくりとあたしを見た。



「だ…、いちさん?」



「奈緒」



しっかりとあたしを捉えるその瞳。