305号室の男。【完】

「だい…、ちさん?」



あたしが声をかけると。



「おはよう、奈緒」



大智さんは、もう起きていた。



「お…、おはよう」



ぎこちなく挨拶をすれば。



「俺がいない間、泣いてたのか?」



あたしの頬に大智さんの親指が、触れた。



泣いてた…?



あぁ…、詠二に話し掛けた時、あたし泣いたんだった…。



「奈緒?」



大智さんが、あたしの顔を覗き込んだ。



「あたし…」



伝えよう。