305号室の男。【完】

だから…。



―バタンッ―



「奈緒」



大智さんが帰ってきたことなんて。



「寝てるのか?」



そう言って髪を触ってくれたことなんて。



「風邪、引くぞ」



そう言ってタオルケットをかけてくれたことなんて。



「奈緒…、好きだ」



好きと言ってくれてたことなんて。



「………」



キスを、くれてたことなんて。



気付かなかった。



そして気付けば朝になっていて、あたしはベッドに横になっていて隣には…、大智さんがいた。