305号室の男。【完】

「ベンチ、座るか」



「うん」



さりげなく、あたしが座るとこを手で払ってから座らせてくれる。



こういうところが、他の人と違う気がする。



「ありがと…」



あたしが座るその隣に、ドカッと座った。



「奈緒…」



切なげに呼ぶ声に…、くるっ!!



そう思い、ギュッと目を閉じた。



だけど落ちてきたのは唇ではなく、大智さんの大きな手が頭の上に落ちてきた。



「お前、ビビりすぎ」



くくっ、と笑う大智さん。



「だ…、だって」



あたしの顔が、熱くなるのが自分でも分かった。