「そん時はそん時だ。…って、奈緒。お前それ反則」



大智さんは、フイッとあたしから目を逸らした。



「何も…、反則なことなんてしてないよ?」



覗き込むように、大智さんを見れば。



「だから…、それが反則なんだって。それ無自覚…、なんだよな」



“そこがズルイんだよな”と、なにやらブツブツ言ってる。



「まぁ、いい。初めてのキスは、どこでしようか?」



そう言って、あたしの顔を覗き込んだ。



だから、顔近いってばっ!!



「奈緒、どこにする?」



聞こえなかったと思われたのか、再度聞かれた。