病院に着き手術室へ運ばれた大智さんを、あたしはただただ祈ることしかできなかった…。



「奈緒ちゃん!!」



バタバタと走ってきたのは、陸斗くんを抱えた詠二のお姉さんだった。



「お姉さん」



お姉さんは陸斗くんを降ろし、あたしを抱きしめてくれた。



「あたしのせいだわ…。本当に、ごめんなさい…」



何度も何度も、謝るお姉さん。



「そんなに謝らないでください…。大智さんは死なない。そう言ってましたから…。あたしは信じます。だから、お姉さんも自分を責めないでください。陸斗くんが責任感じちゃいますよ?」



実際、陸斗くんはずっと笑顔を見せてはくれなかった。



少なからず、責任を感じてるんだと思う。



自分が勝手な行動をしたから、こんなことになったんだって…。



「ありがとう…、奈緒ちゃん。陸斗、一緒に大智にーにー待ってられる?」



お姉さんが、しゃがんで陸斗くんに目線を合わせると。



「うんっ、大智にーにー待つの!助けてくれて、ありがとうって言うんだよ!!」



少しだけ笑顔を見せてくれた。



じゃぁ、一緒に待ってましょうね、そう陸斗くんに伝えると。



「あ、そうだ。あれからね、警察の人が来てね。ブレーキが効かなかったのは、本当だったみたいなの。整備会社に過失はあるけれど、運転手に罪は問われないみたいよ…」



そう、教えてくれた。