305号室の男。【完】

なに…。



何なの…。



詠二を亡くして…、やっと前向きになれたのに…。



今度はあたしを救ってくれた大智さんが、あたしの前から…、消えるの…?



冗談…、やめてよ…。



一人茫然としているところに、突っ込んできた車の運転手が真っ青な顔で走ってきた。



40代くらいの男性だろうか。



スーツを着ていてマジメな…、というのが第一印象。



彼はあたしたちの前に来て。



「も…、申し訳ありませんっ!!」



深々と、頭を下げた。



嫌でも、あたしの耳に入ってきた。



ブレーキが利かず、陸斗くんも小さくて見えなかった…、と。