305号室の男。【完】

あぁ、そうか。



陸斗くんを見ると懐かしい気持ちになるのは、詠二に似てるからなのか…。



懐かしい…?



あたし、詠二のこと思い出にできてる…?



「ねぇ、奈緒ちゃん?」



「えっ…、あっ。ごめんなさい!!」



また、あたしは昔に飛んでしまっていた。



「ううん、いいんだけどね?お隣の男性は、奈緒ちゃんの大切な人…?」



あたしと大智さんを交互に見つめ聞かれた。



「えっ!?た、大切…。あ、あの…。大智さんは…」



大切か、と聞かれ戸惑った。



「初めまして。詠二くんのことは奈緒から聞きました。奈緒の大切な、というよりは俺の大切な人、ですね」



「ちょ、ちょっと大智さん!?」



今、大切な人って言った時こっち見たよ!!



バッチリ目合っちゃったじゃん!!



「あら、そうなの?ねぇ、奈緒ちゃん…。幸せになってもいいのよ?詠二だって、奈緒ちゃんが幸せになることを望んでいるわ」



「お姉さん…」



この言葉に、葬儀で言われたことを思い出した。



あたし…、幸せにならなきゃ…。