「快速。よかったね」

「やめてお願い」

「タイラちゃんもそんなこと言ってた」

「......あんたが......タイラも殺したの?」

「やだ、違うよ」

 くすくす笑うあざみの手には指がなく、赤黒く腫れ上がっている。

「なんで笑えるの? あんた、最低」

「......」

「ねぇ、この時間って、桜ちゃんならなんだか分かるよね?」

「この時間って...まさかあんたが用賀も...」

 桜の体から怒りが沸き上がった。

 用賀が飛び込んだ時間だ。

「違うよ桜ちゃん」

「違う?」

「ぜんぜん違うよ」


 桜の目の前に立ち、かわいい顔にあどけない笑顔を貼りつけた。


「用賀君も......じゃない」


「どういうことよ」



「............用賀君が一番最初ってこと」



 言い終わると同時にあざみは線路の上に立っていた。


 指を下に指し示す。


「ここ」