その夜、大梯は悪夢にうなされて目を覚ました。
隣では富多子がすやすやと眠っている。幸せそうに眠っている富多子の顔を見たら少しだけ気分も落ち着いた。
額から流れる脂汗を腕で拭い、パシャマのズボンで拭く。
水を飲みに台所へ行くときも、富多子が起きないように気を付けながらベッドから抜け出して、そっとドアを開けた。
真っ暗な台所には外から入ってくる月明かり以外に明かりは無い。
ひんやりとする床を裸足で歩き、冷蔵庫を開けるが、その明るさに目を細めた。
麦茶を取り、グラスに注いで一気に飲み干した。
「っはーーー。うまい」
二杯目をグラスに入れてから冷蔵庫に麦茶を戻し、ダイニングテーブルに座って麦茶に口をつけた。
しんと静まりかえった部屋は、電化製品が動いている電器音しか聞こえない。
蛇口が少し緩んでいたのか、水道の水がピチャンと落ちて、そこに目を向けると黒い影がすっと通りすぎた。
何かがいる。この部屋に得体のしれない何かがいる気配を感じて、そこに意識を集中させる。
見てはいけない物を見たことにドキンと跳ねた心臓を抑え、残りの麦茶を飲み干すとすぐに寝室へ戻った。
富多子は相変わらず安心しきったように寝息を立てていて、そっと布団に入り込んで額にかかっている髪の毛を耳にかけてやった。
んー......と鼻から抜ける声を出して、無意識に抱きついた。

