「純粋気取って…お姫様にでもなったつもり!?」

「小夜、いい加減にして」

「…ううん、止めないで結愛」

「…沙耶…?」






小夜ちゃんの背負ってるものは、

許容範囲を越えてる。

…言って楽になって貰いたい。

少しでもその重い荷物を下ろしてほしい。







「どういう気分なわけ!?モテるって!!」

「……」

「あたしはね、たくさん努力してきた!好かれようと努力した!」

「…うん」

「なのにあんたは…努力しなくても簡単に手に入る…!」

「……っ」





小夜ちゃんの頬に涙が伝う。

きっと…それにも小夜ちゃんは気付いてない。

…あたしを罵ればいい。

そして楽になればいい。

あたしが泣いちゃ、いけない。







「小夜…?」



3人とも驚いてる。

…小夜ちゃんはきっと…

本当はとても弱い人なんだ。







「人の心も…関係も…友達も…全部っ…全部…!」

「……」

「憎いよ!!あたしがどれだけ翔大を好きだと思ってたの…!」

「……うん」

「簡単に奪って…あたしは翔大に好かれようと可愛くなろうと努力したんだよ…たくさん…たくさん!」

「……小夜ちゃん」

「蒼斗まで…奪わなくたっていいじゃない…!」

「蒼は奪ってないよ」

「その鈍感にも腹がたつ!!」





そう言った小夜ちゃんはさっきとは違って、

清々しい顔をしていた。

…微笑みながら小夜ちゃんはあたしを抱き締めた。