「さぁ、飲んで」



母親はそう言い、あの黄色く甘い薬を片手一杯に持って、私の口を開けた。



口の中に充満するウジ虫をかき出すと、その中に無理矢理薬を押し込んだ。


その瞬間、牛乳を流し込まれた時の映像が頭の中に蘇る。


口に入れられた薬は何の味もしなくて、私は舌を虫に食われたのだと気づいた。


しかし、その薬が一個私の体内へ入った時、私は自分の生命力を感じ取った。


「早く、全部飲むのよ」


グイグイと喉の奥まで押し込む母親に、私は抵抗できない。


薬が一つ、また一つ体の中に入る度、細胞の一つ一つが蘇る。


いや! もう死なせて! 生きてたくないのよ、見えないの? 私はこんなにも腐ってるのよ!


叫びたくても声が出なくて、ひたすら涙を流し続ける。


薬が全部体内へ入った後、母親は満足そうに私を見つめていた。


舌がないので声はでないが、体は以前と同じように動く。


それを確認すると、私はカッと目を見開き、台所へ走った。


まだ生き続けるなんて、絶対にいや!


私は自分の首に包丁を押し付けた。