そっけない浅井の返事に塚越が顔を上げる。
背中を向けて歩き出した浅井を引き止めようとしたが…
どんどん離れていく浅井に口を閉じた。
浅井のケータイを握っていた手を、ぎゅっと握り締めた。
浅井がケータイを確認すると不在着信が2件残っていた。
12時15分 佐倉みのり
12時17分 佐倉みのり
いつもなら浅井の仕事を気にして2回も着信を残さないみのり。
2回の不在着信から昨日の事を必要以上に悪く感じているみのりが分かるようだった。
みのりに電話を掛けようとして、浅井の指が止まった。
12時23分。
もう後5分でみのりの昼休みは終わりだという事に気付いて、ケータイを閉じた。
「ついてねぇな…」
誰もいない喫煙室でポツリとこぼすと、後ろのドアが開いた。
.



