「よかったら母さんの見舞い行ってやって。
こっち帰ってきた時、みぃちゃんに会えるかなって楽しみにしてたからさ」
「…うん」
「何かあったらオーナーに連絡して。
…オレのケータイ教えてもいいけど、彼氏嫉妬深そうだし止めとくよ(笑)」
悠太の言葉に、みのりが苦笑いを浮かべると、悠太がにこっと笑った。
その笑顔が…中学の頃の悠太と重なった。
「彼氏と仲良くな」
そう言うと、悠太はみのりに背中を向けて崇の車に乗り込んだ。
その姿に、みのりも自分の車に乗り込む。
崇の車が駐車場から走り去っても…
なかなか車を走らせる事が出来なかった。
悠太の優しさが、どうしょうもなく胸を締め付けて…
その日お風呂から上がると、浅井からの不在着信に気付いた。
22時50分 浅井さん
その画面を出したままみのりの指が止まる。
コールボタンを押せばすぐ繋がるのに…
どうしても
指が、動かない。
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