「ごめんね、みのりちゃん…
みのりちゃんには浅井さんがいるの分かってたけど、どうしても小田切が可哀想で仕方なくて…
去年こっちに帰ってきた時、うちの会社の求人見て来てくれたんだけど…
助かってるよ。
小さい頃から手伝ってたらしくて腕もいいし」
帰り際、駐車場で崇がみのりに話し掛けた。
崇の言葉に、中学の時の記憶がまた蘇る。
時間が空けばすぐに父親の仕事を手伝っていた悠太。
父親が体調を崩した時は部活で疲れてるはずなのに、そんな様子見せずに自転車を黙々と修理していた。
家族を大切にしていた悠太…
そんな大切だった家族が壊れていくのを目の当たりにして、平気でいられる訳ないのに…
誰にも頼らず、1人で抱えて…
みのりがまた浮かんできてしまった涙に唇を噛み締める。
2人の後ろを歩いていた悠太に、崇が声を掛けた。
「オレ、先に車乗ってるから」
そう言って、車に乗り込んだ。
そんな崇にみのりが立ち止まると、後ろから来た悠太がみのりに並ぶ。
なんとなく気まずい雰囲気の中、悠太が口を開いた。
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