「…それが引っ越した理由?」
みのりの問いかけに、悠太が静かに頷いた。
別れる3ヶ月も前に、悠太がそんな目に遭っていたなんて何も知らなくて…
何も気付かなくて…
初めて聞いた悠太の事情に、みのりが表情を沈ませる。
「それだけか?
小田切、一番言いたい事があるんだろ?」
何も言わなくなった2人に、悠太に…
崇が言葉を促す。
そんな崇にみのりが視線を移すと、崇が優しい表情を浮かべた。
「小田切さ、ずっと後悔してる事があるって言ってて…
思い詰めてたから無理矢理吐かせたんだ。
そしたら…」
「オーナーっ」
崇の言葉を止めるために、悠太が初めて感情を込めた声を出した。
今までの淡々とした声じゃない、想いの詰まった声…
「オレが…言いますから」
悠太が、ゆっくりと崇からみのりへと視線を移して…
ここに来て、初めて2人の視線がぶつかった。
.



