『憧れで終わってくれれば…』


そんな淡い期待は…脆くも砕け散った。


自分以外が浅井を好きな状態は、今までだって何度もあった。


みのりが知っているだけでも2人の教習生が浅井に告白している。


浅井はその度に断った。


…決して浅井を疑っている訳じゃない。


信じてるのに…浮かび上がってくる不安が尽きなくて…


好きでいる限り…きっと不安がなくなる事なんてなくて…


こんな不安ばかりを感じてしまう自分が、嫌で嫌で仕方がなかった。




『みのりが嫌な事はしないから…

だからちゃんと言えよ?』



いつか浅井がくれた言葉。


沙紀への電話の後、『嫌いにならないで』と泣いた時にくれた言葉…



だけど…

自分の独占欲が浅井を縛り付けてしまう気がして…


浅井を窮屈にしてしまう気がして…



すべての気持ちをさらけ出すことが恐かった。



素直に全部をぶつけたら…


悠太みたいに自分から離れて行ってしまう気がして…


『ごめん…』

浅井の口から別れの言葉を聞きたくなくて…



離れたくなくて…



すべてを見せるのが、恐い。




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