『ごめんなさいっ
こんな事友達にも相談出来なくて…
佐倉先輩は浅井さんを知ってるからつい…
あの…また相談してもいいですか?』
塚越の言葉に、首を振ることも頷く事もできずに、ただ曖昧に笑った。
どうすればいいのか分からなくて、一度取り出したケータイをまたしまう。
南商の駐車場に止めてある車に乗ってから、ハンドルに顔を埋めた。
そして混乱する頭を整理する。
浅井さんに言っても仕方ないよね…
浅井さんは何も知らないんだから…
だけど
じゃあどうすればいいんだろ…
『声がかっこいいですよねっ』
『本気で好きなんです…』
浮かぶのは、塚越の言葉…
やだよ、浅井さん…
あたし以外に笑いかけたりしないで…
あたし以外に話しかけないで…
あたし以外に優しくしないで…
あたし以外を…
好きにならないで―――…
だけど…
そんなわがまま…言えない。
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