『遼太に嫌われないように我慢してるのよ』



沙紀の言葉が、浅井の心に重くのしかかる。


みのりの我慢に気付けなかった自分が情けなくて…



『嫌いにならないで』


そんな想いをみのりが常に持っていたのかと思うと痛く切なくて―――…







あの時の事は、今も浅井の脳裏に鮮明に記憶されていた。


もう2度とみのりにあんな思いをさせたくなかったから…

深く刻み込まれていた。



だけど1つ引っかかるのは…

あの時、ひどく臆病になったみのりの気持ちだった。



『嫌いにならないで…』


どう考えても、そんなに怯えるほどの出来事じゃなかったのに…



涙を流して震えるみのりは…

過剰な程に怯えていた。


.