『遼太が好きだからこそ…
自分の気持ちを我慢して苦しくなる。
今だって本当は嫌なはずよ。
遼太があたしになんか電話するから。
だけどそんな顔見せないでしょ?
遼太に嫌われないように我慢してるのよ、きっと』
「…なんでそんな事分かるんだよ」
『忘れたの?
あたし大学の専行、心理学よ。
…なんて嘘。
佐倉さんみたいな単純な子なら心理学なんか学んでなくても誰でも分かるわよ。
典型的な『女の子』じゃない。
すれてなくて、純粋な…
今時にしては珍しいかもしれないけど(笑)』
みのりが浅井のコーヒーを浅井の前に置き、みのり自身は、ソファにいる浅井から少し離れたテーブルに座った。
電話をしている浅井に気を使っての行動なのか…
沙紀の話を聞いたばかりの浅井の胸が静かにきしむ。
『大事にしたいんでしょ?
もう不安になんかさせないであげなよ。
ただでさえ今までつらかったんだから…
あたしには崇がいるから大丈夫』
それだけ言って電話は切れた。
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