『遼太のそうゆう優しいところが好きでも、それが自分以外の女に向けられたら嫌なものよ。
佐倉さんは自分の気持ちを我慢する人だから遼太にこんな事言わないだろうけど…
だけど覚えておいて。
自分以外に優しくする遼太を見たくないって思ってるはずだから』
沙紀の言葉に、浅井がキッチンでコーヒーを入れるみのりに視線を向ける。
沙紀に電話をかけ始めた途端に、ソファから離れて逃げるようにキッチンに入ったみのりが少し気になっていた。
『佐倉さんは遼太が思うよりずっと独占欲が強いハズよ。
だからそんな佐倉さんが、よくあたしがいる状態で遼太を想い続けたなぁって感心してたの。
…本当なら自分だけを見て欲しいって思ってたはずなのに。
あんな真面目な子が結婚してる遼太と関係を続けるなんてよっぽどつらかったはずなのに…
本当に遼太が好きなのね』
浅井の視線の先で、みのりが浅井と自分のカップにコーヒーを注ぐ。
立ち上る湯気がみのりの表情を隠した。
お揃いのマグカップから立ち上がる白い湯気が、浅井にコーヒーの香りを届けた。
.



