「…浅井さんの部屋」


『は?』


恥ずかしくて小さな声で言うと、予想通りの浅井の反応が返ってきて、余計に恥ずかしくなった。


『…おまえ今オレの部屋にいんの?』


「……」


素直に返事が出来ずに黙り込んだみのりの態度が浅井の問い掛けを肯定する。


そんなみのりに浅井が苦笑いしながら声をかけた。


『何やってんだよ(笑)

オレがいない時に来たって仕方ないだろ』


「だって…」


浅井に笑い飛ばされた途端に、塚越の事が頭から消えてしまう。


あんなに不安だった気持ちが…

軽くなる。



『で?部屋のどこにいんの?』


「…ベッド。

浅井さんの匂いがして落ち着くから…」


みのりが横になったままシーツの上を指でなぞると、みのりの指を追うように白いシーツが波を立てた。



『…あんまり煽るなよ。

今すぐ帰りたくなるだろ』


「……えっち」


『言うと思った(笑)

とりあえず、もう帰れよ。

あんまり遅くなってもオレも心配だから。

明日昼にはケータイ繋がるからさ』


「うん」


浅井の言葉に、みのりがすぅっと息を吸い込んでから起き上がった。



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