気がつくと悠太はもう披露宴の行われる建物に入っていて…
みのりが隣の浅井を見た。
「あ…ごめん。
…帰る?」
みのりが浮かべたぎこちない笑顔に浅井が少し黙って…
真顔のまま返事を返す。
「うち寄ってけよ。
明日日曜だし夜帰れば大丈夫だろ?
これから用事ある?」
浅井の言葉に、みのりが少し俯きがちに首を振った。
明らかに悠太の事を気にしている浅井に気づいてしまって…
悪い事をしてしまった気分になった。
止めてある浅井の車に乗り込む時、もう一度披露宴の行われる建物に目を向けた。
誰かの披露宴に出ているはずの悠太を思い浮かべると、4年の歳月を改めて感じた。
もう、あの頃のあたしじゃない。
もう、あの頃の悠太じゃない。
悠太は…あの時変わったんだから…
『こいつの気持ちって重くないですか?
なんか…いちいちうっとおしいんっすよね』
さっき悠太が言った言葉が、頭の奥の方から中学の時の記憶を引っ張り出す。
『重いんだ…みぃの気持ち…
もう、みぃの事大切にしてやれない』
別れの時に言われた言葉を…
『ごめん…』
感情がなくなったように冷たく言った悠太の顔が…
頭の中でぐるぐる回る。
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