中学1年の夏、たまたま部活後の体育館の片付けで2人きりになった。


寡黙なイメージだった悠太との2人きりにみのりが緊張していると、意外な事に悠太から話しかけてきた。


「…そんなにオレが怖い?」


「え?」


バレーボールで使ったネットを畳みながら言う悠太に、みのりが振り向く。


すると困ったような笑顔を浮かべる悠太がみのりの目に映った。


「なんか…いつも目が合うとビクッとして隠れるから」


「あ…違うのっ

怖いとかじゃなくて…

全然そんなんじゃなくて…

えっと…あの…」


こっそり見ていた事がバレそうで恥ずかしかったなんて言えなくて困っていると…

ククっと笑う悠太の笑い声が聞こえた。


「それ…焦りすぎ(笑)」


1年なのにレギュラーで、人一倍部活熱心で…

そんな悠太に憧れていただけだったみのりの胸が、悠太のその笑顔に跳ねた。



それから仲良くなるのに時間はかからなかった。


廊下ですれ違うと話すようになって、部活帰り一緒に帰るようになって…


1年のバレンタインにみのりから告白。


照れた笑顔を浮かべながら頷いた悠太の顔は今でも思い出せる。


それから卒業式を迎えるまで付き合いは順調で…

ずっとそれが続いていくと信じていたのに―――…







「みのり?」


沈んだ表情を浮かべていたみのりが、浅井の声にはっとして顔を上げた。


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