浅井の瞳には、外のキラキラ光る夜景の光と部屋のライトが写っていて、その色に吸い込まれそうな錯覚に陥る。
揺るがない目で見つめてくる浅井に、みのりの胸の奥がキュッと音を立てた。
「不倫って事実は消えないし、みのりはずっと後ろめたさを感じるかもしれない。
だけどオレ、この先ずっとみのり以外考えられないから…
みのりが不安な時も泣く時もずっと隣にいたい。
…みのりの一番近くにいる存在になりたい」
あまりの展開に、頭が追いつかない。
いきなり高級ホテルに連れてこられて…指輪を外されて、それで…それで…
「だから…結婚して欲しい。
みのりの未来全部…オレに縛り付けさせて?
…もう離れないように」
浅井の言葉に、頭が真っ白になって…
驚きすぎて出なかった涙が今頃になって溢れてきた。
静かに頬を伝う涙を、浅井の指が拭う。
「みのり?…返事は?」
浅井の言葉に、やっと現実に戻ってきた思考を働かせようとしたみのりだったが…
「…い……はいっ…」
考えるよりも先に、口が動いていた。
体が勝手に頷いていた。
みのりの答えに、浅井が今日初めて安心した微笑みを見せた。
あまりに優しい微笑みに、みのりの涙がまた溢れ出す。
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