オレンジ色の控えめなライトが灯る中、浅井の横顔を見つめていると、ようやく浅井の視線がみのりに向けられた。
その目があまりに真剣で、みのりの体がぴくんとすくむ。
浅井が視線を落として、取ったままのみのりの左手を見つめた。
「早いっていうのは…十分分かってる。
だけど…やっぱりこれ以上耐えられない」
「早い…?」
浅井が真面目に話をしているからそれに応えたいのに、主語のない言葉に何も答えられず聞き返す。
真剣な顔をして何を言いたいのか…
考えを巡らせているうちに辿り着いた答えに、みのり気持ちを動揺が包む。
まさか…
自分のいいように解釈し過ぎてしまってるに決まってる。
そう自分に言い聞かせていると、浅井が顔を上げた。
オレンジのライトが、浅井の顔を柔らかく照らす。
「オレと結婚して欲しい」
浅井の真剣な瞳に捕らえられたみのりの時間が
止まった。
.



