「みのり、誰?」


いつの間にかすぐ後ろまで近づいていた浅井を、みのりが慌てて振り返って…

混乱する頭の中から選んだ言葉をゆっくり口にした。



「あ…中学の時の同級生で…小田切くん」


緊張した笑顔を向けながら悠太を紹介するみのりに、浅井が並ぶ。


「中学の?

へぇ…でかいな(笑)」


中学の時に既に170センチを超えていた悠太の身長は、今は180センチ近くあるように見えた。


黒いスーツが長い足によく似合っている。


4年も立てばそれぞれ成長しているのは当たり前なのに、学ランじゃない悠太に少し違和感が残った。


「あ、うん。

バレーボール部だったから。

ほら、バレーボールやってる人ってみんな高いでしょ?」


170センチの身長にコンプレックスを抱えてる浅井の苦笑いに、みのりが慌ててフォローする。


すると、そんな2人を見ていた悠太が口を開いた。



「みぃ…その人彼氏?」


悠太の言葉に、一瞬空気が止まる。


なんとなく…本当になんとなく浅井を紹介しづらくて…

だけど隣から送られる浅井の視線に、何でもない振りをして頷いた。



「うん…浅井さんっていうんだけど…

…付き合ってるんだ」


精一杯の笑顔を作って悠太を見ると、さっきまで穏やかだったはずの悠太の表情が変わっていた。



.