「…なに?
ってゆうか、なんで浅井さん…」
言いかけたみのりに、悠太が人差し指を立てた。
『黙ってて』と言われたような仕草に、それ以上何も言えなくて…
悠太に手招きされるまま病室に入った。
病室に浅井の姿は見えなくて…
春子のベッドの前まで来た時、カーテンの中から浅井の声が聞こえた。
「体調はどうですか?」
浅井の声にみのりが悠太を見上げると、悠太の目が少しだけ細められた。
「えぇ、もうすっかり」
どうしていいか分からない中、浅井と春子の会話が交わされる。
途中まで引かれた仕切りのカーテンで、中の2人からは悠太の姿までしか見えていない。
その悠太の隣に立って話を盗み聞きしている自分には、2人は気付く様子もなくて。
「浅井さん…こないだは本当にごめんなさい」
立ち聞きなんかしてはいけない話題に感じて悠太を見上げると、悠太が小さく頷く。
『大丈夫だから』
そんな風な悠太に、みのりが気まずげに仕切りのカーテンに目を移した。
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