「あ、じゃあ病室にいるんかな。

オレ、今ペット買いに行ってたからすれ違いになったのかも。行こ」


「あ、でもあたしはっ…」


悟の背中に言おうとしても、悟は聞く耳持たずで、小さな鼻歌混じりに病室に続く廊下を歩く。


悟の選んだ道は、春子のいる503号室を通ってから沙紀の病室に向かう道順だった。


どこかで会ってしまいそうな浅井に緊張しながらも悟について行っていたみのりが、沙紀の病室の前まで来た時口を開いた。


「やっぱり、あたしロビーにいるね。

浅井さんにもそこで待ってるように言われてし」


「え〜、せっかく来たんだから寄ってけばいいのに〜」


「ごめんね」


顔をしかめる悟に、みのりが困ったように笑いながら背中を向けた。


その時…

みのりの視線の先に、悠太と一緒に春子の病室に入る浅井の姿が映った。


目を疑うツーショットに立ち止まっていると、浅井に続いて病室に入ろうとしていた悠太と目が合った。


びくんと体をすくませたみのりに、悠太はしばらく考え込むように黙って…

みのりに向かって手招きした。


不思議に思い、戸惑いながらも、みのりが悠太の方へと足を進める。


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