「沙紀さん、すっごく綺麗だったね!」


式が終わり、式場から続々と溢れ出す招待客の中にみのりと浅井もいた。


興奮が冷めない様子のみのりに浅井が笑いながら返事をする。


「…そんなに騒ぐほど?」


「うんっ

超綺麗だった〜…

幸せそうだったし、感動しちゃった」


いつの間にか結婚式なんか出慣れてしまった自分に気付き苦笑いをもらしながら、浅井が車のキーを取り出した。


みんなが披露宴会場に移動する中、浅井とみのりがその列から外れる。


沙紀には披露宴にも、と誘われたが立場上出るのもおかしい気がして断った。


「車とってくるから、みのりここで待ってて」


「うん」


浅井の言葉に頷いてから、浅井の後ろ姿を見えなくなるまで見つめる。


せっかくのスーツ姿にデジカメを持ってくればよかったと少し後悔した。

足元に飛ばされてきたフラワーシャワーの花びらに気づき、みのりが拾い上げる。


そして、先ほどの沙紀と崇の姿を思い出してすっかり浸っていた時…






「みぃ…?」






懐かしい呼び方を耳にした。


中学の時の自分のあだ名に、思わずみのりが振り返る。




急に吹き付けた強い風に、フラワーシャワーの花びらが一斉に舞い上がった。



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