「みぃちゃんの彼氏って言ってたけど…
思っていたより年上だったのね〜。
落ち着いてる感じでみぃちゃんとお似合いだわ〜」
「いや、落ち着いて見えるのは外見だけで中身はてんでガキだよ。
えらいやきもち妬きでさぁ…」
「悟、おまえ黙ってろ」
部屋に入るなり展開された会話に、浅井が眉をひそめて苦笑いを浮かべる。
日曜という事もあり、同室の患者にも見舞い客が来ていて部屋は騒がしかった。
一応、仕切りのカーテンを引くと、少し圧迫感のある空間が3人を包む。
「あ、やべ、電話だ…
ちょっと出てくる」
震えるケータイを持った悟が場を後にすると、妙な緊張が浅井を襲った。
「退院とかはもう決まってるんですか?」
「先生からまだそうゆう話はないんだけど、順調に回復してるし、きっともうすぐだと思うわ〜。
あの…浅井さん、でしたよね?」
「はい」
差し障りのない話題を選んだ浅井とは対照的な話題を、春子が少し言いにくそうに切り出した。
「浅井さんって…沙紀ちゃんの元旦那様?」
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