「あれ…どうしたの?」
病室を訪れた浅井に、沙紀が驚いて声をかけた。
「オレが誘ったんだ〜。
みのりちゃん今日は友達と遊んでて寂しそうだったから」
浅井の後ろからひょっこり顔を覗かせた悟に、沙紀が呆れた顔を向けた。
「こんなとこに来て佐倉さんがいい思いする訳ないじゃない。
本当に悟は鈍感なんだから…」
「みのりはまぁ…多分大丈夫だよ。
沙紀には崇さんもいるし…
きちんと説明するから」
苦笑いしながら言う浅井に、沙紀がふっと笑みをこぼす。
「本当は佐倉さんの元カレが気になってきたんじゃないの?
いくら悟が強引に誘ってもあたしのお見舞いなんか来ないでしょ?」
「……」
沙紀の言うような気持ちがなかった訳じゃないだけに、なかなか言葉が返せなくて…
浅井が小さく眉をひそめて笑う。
「オレもそうだと思ってたんだよな〜。
よしっ潜入してこようぜ、遼にぃ」
グイッと引っ張る悟に病室の外に連れ出されて、浅井が悟の手を振り払う。
「おまえなぁ…
小田切のおばさんは調子悪くて入院してんだろ?
いきなり行っても悪い…」
「大丈夫だって!
超いいおばさんだからっ」
「そうゆう問題じゃ…」
「あら、悟くん」
廊下の真ん中で騒いでいた2人が振り返ると、ニコニコと笑顔を向ける春子の姿があった。
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