「聞けないなら、お見舞い行けばいいじゃん。
あたしも一緒なら浅井さんも嫌がらないでしょ?
で、悠太くんいたらこっそり帰ってくればいいだけだし」
里奈が言い終わると同時に、頼んだパスタが運ばれてきた。
キノコのと鶏肉の和風パスタに、ベーコンチーズのクリームパスタ。
半分ずつ分けるために取り皿ももらう。
「気になるならお見舞いだけ行きなよ。
ちゃんと回復に向かってるって分かれば少しは落ち着くでしょ?」
「……」
パスタをフォークにくるくると巻き取りながら言う里奈に返事ができなかった。
もやもやと心に立ち込める感情は、きっと悠太の気持ちに応えない限りは消えない。
「それにいつまでも悠太くんの事で悩んでたら浅井さんに悪いよ。
悩んだら即行動だよ」
力強い里奈の言葉に、みのりがふっと笑みをこぼす。
もしも春子の病状が回復に向かっていたら
退院できるようなら、確かにこの罪悪感と同情に似た気持ちも軽くなる気がした。
悠太が一人じゃなくなれば…
疲れて家に帰っても、春子の笑顔と手料理があれば…
少しは悠太も救われる気がして…
口に入れたクリームパスタをごくんと飲み込む。
「お見舞い行こうかな…
付き合ってくれる?」
みのりの言葉に、里奈が微笑んで頷いた。
.



