沙紀から挙式に来て欲しいと頼まれたのは2ヶ月前。


元夫の立場の浅井は少し迷って…

挙式のみ出席する事にした。


みのり達が教会に行くと、もうだいぶ人が集まっていた。


去年できたばかりのキレイな教会は、光を基調としていてとても明るい。


白い壁に白い床。


所々に用意された花だけが教会を色づけでいた。


「目立っても嫌だから後ろでいい?」


自分の立場を気にしてか、一番後ろの席を指差しながら言った浅井に、みのりが笑顔で頷いた。


着席するとすぐに照明が落とされて…

きれいな曲と共に、ドアが開いた。


そして…


白いドレスに身を包んだ沙紀と黒いモーニング姿の沙紀の父親が、一礼してから独特の歩き方で新郎の崇の元へ歩いていく。


少し目立ち始めた沙紀のお腹には5ヶ月の赤ちゃんがいる。


浅井と別れてすぐの出来事に、沙紀の両親は難色を示したが…

崇の根気強い誠意が伝わって、許可した。



綺麗な沙紀の姿は憧れるほどきれいで…

崇も隣から沙紀を優しく見つめていた。


仲良さそうな2人の姿はとても微笑ましかった。



そんな2人に早くも涙する沙紀の両親の姿に思わず泣きそうになったみのりを、浅井が笑った。



聖歌隊によって歌われた賛美歌が、いつまでも頭から離れなかった。



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