エレベーターで5階に上がる。
確か2週間前の土曜日もここにいた事を思い出して、少しだけ気持ちが重くなった。
悠太の事を思い出して…
沈んだ想いが痛み出したのを感じて表情を歪めた時、エレベーターのドアが開いた。
はっとして、エレベーターを降りて沙紀の部屋を探そうとした時…
「みのりちゃん!」
前から歩いてくる悟の姿が目に入った。
「ありがとーっ
もう困ってたんだよ…」
悟の顔に、憂鬱になりかけていた気持ちが掬われる。
金髪にピアスも見慣れてしまえば愛嬌がある…ように見えなくもない。
「ここだよー」
悟に案内されたのは508号室。
春子の病室の5つ隣だった。
「姉ちゃん、みのりちゃん来てくれたよー」
「失礼します」
悟に続いて部屋に入る。
個室の部屋は4人部屋の半分くらいの広さだったが、1人なら十分な広さだった。
真ん中のベッドには、上半身だけ起こした沙紀の姿があって、みのりに気付くと、優しい笑みを浮かべた。
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