『へぇ…でもなんか納得だな』
夜、浅井からかかってきた電話で、みのりは今日永井から聞いた事を話していた。
ケンカした時は、ずっと残り続けると思っていた気まずさみたいなものは微塵も感じなかった。
逆に近付いたようなうれしい。
「なんで納得なの?」
みのりが少し表情を歪めながら聞く。
『最初っから思ってたんだけど、塚越、オレの事大して好きじゃなかった感じがするんだよな。
なんか意地になってる感じで…やけに強気だったし』
「でもじゃあなんで浅井さんにあんなにこだわってたの?」
いまいち納得のいかないみのりが、ますます表情を歪ませた。
長電話してるせいで、熱を帯びたケータイが耳に温かい熱を伝える。
『オレじゃなくて、みのりに執着してたんじゃねぇかな…
オレがみのりの彼氏だから、オレにこだわってたんじゃねぇ?』
浅井の言いたい事をみのりが頭で整理する。
つまり…
浅井さんにあんなにアピールしていたのも、あたしに敵意を向けてきたのも、
浅井さんへの恋心からじゃなくて…
あたしへの執着から…?
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