自分でも気付かなかったような口癖を、みのりが知っていてくれた事がうれしかった。


うれしくて笑みがこぼれた。



みのりが、自分を見ていてくれてる証拠。


みのりが、自分を好きでいてくれてる証拠。




だから…


あの事は―――…





「そういえば、南商に南丘銀行の求人いったってさ。

今日南商の生徒が来て聞いた」


「えっ…本当?!」


驚いて浅井の胸から離れたみのりに浅井が頷くと、みのりが安心した笑顔を見せた。


「よかったぁ…」


その一言だけもらして深いため息をつくみのりに浅井が微笑む。


「支店長、本当に意地悪…

意地悪ってゆうか…性格悪いよね。

早く移動でどっか行って欲しい」


予想通りの反応をしたみのりがぽつりぽつりとこぼす支店長への不満に、

浅井がみのりの頭を撫でる。


わざと髪をくしゃくしゃにするように撫でる浅井に、みのりからちっとも怖くない文句が飛んできて…



「髪がくしゃくしゃになっちゃうっ

も〜…」


「大丈夫だって。

可愛いから」



急に優しい表情を向けてきた浅井に

みのりが膨れて見せた。



いつの間にか、浅井の胸に渦巻いていた苛立ちと不安が消えていた。




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