「でも大会ではあまりいい成績が残せなかったみたいでな…
その度に、佐倉を引き合いに出して比べられてたみたいなんだよなぁ。
ほら、本田先生はああゆう人だから」
「……」
「一時期、かなり落ち込んで他の先生に相談もしてたみたいだよ。
『認めてもらえない』って泣いてたって聞いた。
本田先生はいつも誰かと比べて蔑むから…だから部員が少ないんだろうけど…
あまりいい指導だとは思えないな」
蒸し暑い職員室には、夏休みのせいで数人の教師しかいなかった。
周りの教師の様子を伺いながら話す永井が、話を続ける。
「塚越な、成績的には学年でもかなり上で、敵なしだったから…
だから、佐倉に執着してる気がしてならないんだよな。
塚越、佐倉が南丘に行った事を聞いて、急に進路変えたから…
おまえに憧れてるなんて言ってたけど…内心はどうなんだか…なんか心配でな」
「だけど、あたしはたまたま大会で成績がよかっただけで…」
「佐倉はタイミングって言うか…要領がいいからな。
努力も報われるんだろうけど…
塚越は要領が良くないからがむしゃらに頑張って…それでも結果が出せなかったから落ち込んだりしてたんだろうけど」
永井の話に、みのりの中になんとも言えない感情が浮かび上がる。
嫌だと…敬遠していた塚越が…
少しだけ可哀想で、少しだけ健気で…
小さく胸が痛んだ。
.



