「だけどね?
あたし誰が相手でもこんなに頑なに気持ちを突き通したとは思えないから…
浅井さんだったから、諦められなくて…
それを分かって欲しかったんだ…」
浅井さんが永井先生との噂を信じてるとは思えない。
悠太との事だって…
ちゃんと分かってくれてた。
だけど…
みのりの視線の先で、タクシーがようやく走り出す。
その緑色の車体を追ってから、また道路を眺めた。
「ってゆうかさ、その塚越が元凶だよね」
ココアに浮かぶ氷をストローでつつきながら言った里奈の言葉に、みのりがゆっくり…でも強く頷く。
「塚越さんの事がなければ、多分ケンカになんかならなかったし…
浅井さんの事好きなのは分かるけど…だけどやっぱり…」
「むかつく?(笑)」
里奈が笑いながら聞いた問いに、口を尖らせたままみのりが黙って頷いた。
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