「いや、最低だよ。
何、その『オレと不倫してたんだから、みのり普通に不倫とかできるだろ?』的な発言」
「…そうゆう意味で言ったんじゃないんだと思う」
「じゃあどうゆう意味?」
「うーん…
多分…意味なんかなかったんだと思う。
浅井さん、少しイライラしてて…はずみで出ただけなんだよ。
…あたしも落ち着いてからそう思ったんだけど」
2階にあるコーヒーショップから、歩行者天国状態になりつつある道路を眺める。
我が物顔で車道を歩く学生のせいで、タクシーが立ち往生していて、少し不憫に思いながらみのりが話を続ける。
「本当はそんな事思ってなくて…浅井さんも不安で、そうゆう気持ちから出たんだと思う。
だけど…あたしはなんか突き放されたような感じがして…
悲しくなっちゃって…」
『共犯者だな』
そう笑った浅井さんに救われてたから…
苦しかった気持ちを、浅井さんの優しい言葉が半分に減らしてくれたから…
だからショックだった。
一度半分にされた苦しさが元の大きさに戻ったみたいに急に感情が抑えきれなくなって…
何気なく出た言葉が、聞き逃せなかった。
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