見つめる先で塚越の瞳が静かに揺れる。


「…そんな事言ってあたしが南丘銀行の人とかにバラしたらどうするんですか…?」


「バラさないよ。塚越は…

バラせない」


「なんでっ…」


「みのりの事が本気で嫌いな訳じゃねぇから、塚越はバラさない。

…まぁ、もしバラしてもオレが嫁にもらえばいいだけの話だけど」


「……」


黙ってしまった塚越が俯いたのを見てから、浅井が背中を向けて歩き出す。


そして少し歩いた所で思い出したように塚越を振り向いた。


「試験、頑張れよ」


出てきた太陽の光が、少し不揃いに並ぶ教習車に当たって跳ね返る。


俯いたままの塚越に背中を向けて、眩しい日差しに目を細める。








みのり…



今、何してる?

まだ怒ってる?


…泣いてないよな?




みのり…


ごめんな―――…








もうすぐ、夏が終わろうとしていた。



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