まさか塚越がみのりにまでそんな事を言ってるなんて思いたくなかった浅井が、みのりの口から聞かされた事実にゆっくりと口を開く。
「ごめん…
オレ、塚越が元のオレ達の関係を知ってるってみのりに気づかせたくなくて…
まさか塚越がみのりにまでそんな事言ってると思わなかったから…」
「それは分かるけどっ…
あたしは…塚越さんにちゃんと言って欲しかったんだもん…」
「だけど、オレがあんまり冷たくしたら、みのりと塚越の関係が悪く…」
「あたしが守りたいのは浅井さんとの関係だもんっ!」
浅井の言葉を、涙をポロポロ落とすみのりが遮る。
小さく震える体が、みのりの溢れた不安を表しているようだった。
「あたしが失いたくないのは…浅井さんとの関係だけだよ…
会社での立場とか…塚越さんとの関係じゃない…」
真っ直ぐに浅井を見ていたはずのみのりの目は、いつのまにか、伏せられていた。
手の甲で目の辺りを隠すみのりの肩は震えたままで、止まらない涙を教えていた。
そんなみのりに伸ばそうとした手を、浅井がぎゅっと握り締めた。
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